晴一と昭仁。高校に入学して、二人は初めて出会った。




二人は恋人同士。性別なんて気にしていない。
今日は晴一の家に昭仁が遊びに来ていた。



二人は恋人同士といっても友人と殆ど変わらない関係。
キスなんてしていない。手をつないで一緒に帰るのが精一杯。
したくてもできないというのが事実なのだが。







ファーストキス











ここは晴一の家、そして晴一の部屋。
そして昭仁はその部屋に一人きり。








晴一の部屋の扉がいきなり開く。
昭仁の体がびくりと反応した。








「そんな硬くならなくてもええのに。」




笑いながら部屋に入ってきたのは部屋の主人である晴一。
晴一の手にはお盆。お盆の上には二人分のジュースと
たくさんのお菓子。







「なんか緊張するんよぉ〜……。」




なぜか昭仁は部屋に入ってきた時から正座している。









「ほれ。」




そう言って、持ってきたジュースを昭仁に手渡す。
ジュースは色からしてオレンジ味のようだ。



橙色の液体と氷が透明のコップに入っている。
氷とコップがぶつかり、カランカランと綺麗な音を奏でる。








「ありがと、晴一。」




オレンジジュースを受け取り、一口ジュースを
口に含む。甘いオレンジジュースが口の中を満たす。



緊張していたため渇ききっていた喉が
オレンジジュースにより一気に潤った。








「落ち着いたかぁー?」




「う…うん。ありがと、晴一。」









「よかったよかった。お菓子もあるけぇ。食べ。」




そう言って晴一が差し出したのは
チョコレート味のポッキー。



昭仁はコップをテーブルに置き、
晴一が手に持っているポッキーをぱくりと食べた。








「うまい?」




「ぶちうま。晴一も食べてみぃ?」









そう言ってコップのすぐ横においてあるお菓子の盛られた
皿からポッキーを一本取る。








ポッキーの味なんて昔から知ってる。
チョコレートポッキーは幼いころから食べていたお菓子の一つだ。








先ほどの昭仁と同じように昭仁が手に持っている
ポッキーをぱくりと食べた。



ぽきんという音とともにポッキーが2つに割れる。
半分は晴一の口の中に。もう半分は昭仁の手に残ったまま。








晴一の口の中でポッキーはさらに砕かれ、
チョコレートの味が口の中に広がる。甘い。しかしどこか苦い。








「うまい…?」









「うまいよ…。うん。」




そう言って昭仁の手から、割れた半分のポッキーを
優しく取り、食べる。ポッキーがまた口の中で砕けていく。
チョコレートがかかっていない部分が
多いため、味がどこか寂しい。






会話が続かない。部屋に流れるのは沈黙。
全開にしてある窓から入ってくるのは涼しい風。








コップの中の氷が溶ける。カランカランと音をたてる。
その音が静かな部屋に響く。コップの表面についた
水滴が落ちる。テーブルの上に水溜りができる。












「なぁ、昭仁……。」




沈黙を破ったのは晴一のほうだった。
晴一は未だに口をつけていなかった自分のオレンジ
ジュースをようやく口にした。







「― なん……?」









また沈黙が流れそうになる。晴一は
コップをテーブルの上に置いた。また氷が音をたてて溶ける。
口の中にオレンジジュースの味が広がる。












真剣な眼差しで昭仁を見る。




「好きじゃよ、昭仁。ぶち好き。」









普段とても言いにくかった言葉。喉のどこかで引っかかって
告白して両思いになった後なかなか言えなかった、昭仁への気持ち。








「わしも好きよ、晴一……。」




晴一は、昭仁を抱きしめた。
勿論昭仁を抱きしめたのは今日が初めて。



二人の距離が一気に近づく。
昭仁のぬくもりが晴一に伝わり、
晴一のぬくもりが昭仁に伝わる。







「昭仁、愛しとぉよ……。」









「ん、わしも……。」









二人の唇が、初めて重なった。









氷がまた溶けた。カランカランと音をたてて。
涼しい風が部屋を吹きぬけた。








二人の初めてのキスは、甘く、ほんのり
チョコレートポッキーとオレンジジュースの味がした。









初・晴昭小説です!とうとう書いちゃいました。
すっごく楽しかったです。
しかも最初から学生版・晴昭ですよ!
処女作が学生版・晴昭でもいいのかなぁ…。
パラレルですよね。学生設定は。

方言あってるのか不安です。因島弁…すごく
いいと思うんだけどなぁ…。難しいです。
頑張って勉強します。はい。
では読んでくださってありがとうございました!

05.06.25 刹雪真音
SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送