貴方の願いを叶えましょう。




でも簡単に願いが叶うなんて、つまらないでしょう?




だから条件を一つ出しましょう。




私が消えるまでに貴方の願いを3回言って下さい。









Shooting star











「見えんかのぉ……。」




ベランダに置いてあるテーブルと椅子。
昭仁は椅子に腰掛け、夜空を見つめていた。



シャンペン代わりに飲んでいるのはソーダ。
明日は朝早くから仕事なので、酒を飲むことはできない。








ソーダ独特の甘さと、炭酸が口の中に広がる。
透明なグラスに入っている透明の液体からは
幾つもの泡が生まれ、ふわりと
浮かび上がり弾けて消える。






「昭仁〜、流れ星見えたかぁ〜?」









そう言いながら昭仁のいるベランダにやってきた晴一。
晴一の後ろから、スゴロクもやってきた。



昭仁は予めテーブルに置いておいたグラスに
ペットボトルに入った冷たいソーダを注ぐ。
まるでビールのようにソーダは白くなるくらいたくさんの泡を
生み出した。シュワーと独特の音がなる。






「……まだ見えとらん。」




昭仁は少し不機嫌そうな声で呟いた。









「…流れ星、そんなに見たいん?」




そう言って晴一は自分達の上に広がる夜空を
見上げ、冷たいソーダを飲む。








「願い事、叶えたいんよ。流れ星に
3回願い事言えば叶うんじゃろ?」








昭仁はとても悲しそうな目で夜空を見つめる。









「叶うかどうかは分からんけど…。」




晴一の横に座っていたスゴロクが「わん」と吠えた。














「 ― 何を叶えたいん?
わしも昭仁と一緒に流れ星に願い事しちゃる。」




ペットボトルに入っているソーダを
グラスに注ぎながら、晴一は言った。







「ほ、ほんまに?!」




昭仁の表情が一瞬にして変わった。
どうやら昭仁の心の空を覆っていた雲は
一瞬にして消えてしまったようだ。







「うん、ええよ。昭仁の願い事は、わしのお願い事じゃけ。
それに昭仁よく噛むけぇ、3回も言えんじゃろ? で、何をお願いするん?」








「あ、あのな、『わしと晴一がいつまでも一緒にいられますように』って
一緒にお願いしてほしいんよ。」



昭仁の頬が少しだけ赤くなっているように見えた。
ベランダに電気はついているが、夜なので
昼と違い、色が識別しにくいのだ。







「― は?そんな事お願いするん?」









「『そんな事』じゃないわ、ボケ。」




そう言って昭仁は氷が解けきって
少し味の薄くなったソーダを飲む。













「昭仁はバカじゃね〜。そんな事お願いしなくても
わしは昭仁とずっと一緒にいるんに…。」








「ええの!わしがお願いするって決めたんじゃ!」




昭仁が空になったグラスをテーブルに置き、
再び夜空を見上げた時だった。



空に光る、星が。




流れる星が見えた。









「あっ、は、はっはるいっちと一緒にってあ〜!!!」









よく噛むのに長い願い事を言うのはやはり昭仁には無理だった。
三回どころか一回も言えずに流れ星は消えてしまったのだ。








「い、言えんかった……。」




昭仁の心の空をまた黒い雲が覆ってしまった。
そのままテーブルに顔を伏せてしまう。








「そんなにショックだったん?」




返事はない。どうやら相当ショックを受けているようだ。
昭仁は顔をテーブルに伏せたまま何も言わない。








晴一はまるで幼い子供をあやすかのように、
昭仁の頭を撫でてやった。ふわふわの黒い
猫っ毛がとても気持ちいい。







「昭仁、わしは昭仁とずっと一緒よ?」









「昭仁の事、何があっても離さんから。」




晴一は椅子から立ち上がり、自分の向かい側に座っている
昭仁の方へ回った。そして後ろから抱きしめる。








「………ほんまに……?」




昭仁がテーブルに顔を伏せたままぽそりと呟いた。









「嘘言ってどうするんよ。」




昭仁の頭を撫で続け。耳元で囁いてやる。




ようやく昭仁が、顔を上げた。









「晴一、約束じゃけ……。わしとずっと一緒におって。」









「昭仁に言われなくてもわしは初めからそのつもりじゃけぇ。」




昭仁を椅子から立たせ、晴一はテーブルの上に
置いてあるグラスとペットボトルを持つ。








「― 中、入るど。」




昭仁はこくりと頷き、部屋の中に入っていった。
スゴロクが昭仁の後を追い、ベランダから部屋の中に入ったのを
確認するとベランダのドアをそっと閉め、カーテンも閉めた。







晴一はキッチンに行き、グラスを水の中につけ、
冷蔵庫にソーダを戻す。



晴一の後を追ってきた昭仁の頬に
軽いキスをして、昭仁の身体をひょいと持ち上げ
お姫様抱っこをした。







「…は、晴一?」




「もう寝るかのぉ。」




昭仁の頬が赤くなったのは今度ははっきりと分かった。
晴一はくすりと笑い、キッチンを後にする。



向かう先はもちろん寝室。









寝室に入り、昭仁をふかふかのベッドの上に下ろす。




「何があっても、ずーっと一緒じゃ。」




また晴一は昭仁の耳元で囁く。




昭仁の身体が一瞬ぶるりと振るえた。




「うん………。」




晴一もベッドの上に乗り、昭仁の唇に口付けた。




また一つの流れ星が光りながら落ちていき
ふわり消えた。



しかし晴一と昭仁の愛は消えない。永久に。




天と地が逆さまになっても、地球が消えてなくなって
しまっても、二人の愛だけは流れ星のように消えたりしないのだ。










晴昭小説ですよ!二作目です。相変わらずの駄目文ですね…。
ポルノの曲を殆ど知ってる方は、この小説のイメージソングが
分かるかと…。「ワールド☆サタデーグラフティ」です。
はい。ソーダをシャンペン代わりにとか。イメージした証拠
かなりありますね。

最初のタイトルは「流れ星」だったんですが、
あまりにもつまらないので英語に変更。「Shooting star」
(シューティング・スターと読みます。)

すごく楽しかったです。方言は相変わらず
変だし、難しいんですが。
読んでくださった方、ありがとうございました。

+微Image song+ ワールド☆サタデーグラフティ/ポルノグラフィティ

  05.08.09 刹雪真音
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